「スポーツ栄養学」ロードバイク乗りにお薦めなタンパク質、糖質に対する知識を完全なものにする本
やばい。この本は最高にすばらしい。
もっと早くに出会いたかった。
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ロードバイク乗りやトレーニングに勤しむみなさん、食事の摂取についての情報に困ったことはないだろうか。
痩せるためには糖質を避けるべきだ、や
プロテインはトレーニング後30分以内に摂取しなければ意味がない、や
レースで勝つためにカーボローディングをすべきだ、等々。
ネット上にはさまざまな情報が溢れており、具体的な方法やメソッドは書かれている。
しかしそれぞれ確からしい情報であるが、はたしてどこまで信頼できるかわからないものも多い。
ネットに書かれる情報は、ある面で正しいが前提となる条件が明確でなかったりする。
結局自分に都合がよさそうなものを試しては、効果があったと実感すれば続けるし、違ったと思えばやめる。
果たしてどの程度効果があったかもわからない。
プロテイン1つにとっても、どの種類のプロテインを、どのタイミングで、どれほどの量を摂取すると効果があるか、また効果とは短期的、長期的にどう差が現れるか、それが明確に書かれたものは少ない。
より正しく、より定量的な成果がわかる知識が欲しい。
そうなってくると論文を読む必要がでてくる。
ただし、論文を読むにも知識がいる。
その論文の前提条件等を充分に理解して読むのは時間がかかるし、エビデンスレベル(情報としての確からしさの度合い)を考慮してどれほど参考にするかも知識がいるためだ。
ロードバイク乗りが気になる、論文的な正確な情報をわかりやすくまとめたものはないだろうか。
そして見つけてしまった。
どのようにみつけたかというと、スポーツ栄養学術情報というfacebookページからだ。
普段から栄養に関する興味深い論文情報をアップするページなのでちょくちょく見ていた。
https://www.facebook.com/academic.information.sports.nutrition/
そのページで本が出版されるという情報をみつけたため発売と同時にAmazonで購入した。
本当に詳しい。
そして論文ベースの本であり、より正確に誤解のないよう書かれた本である。
こういった本を求めていた!と感じる情報が随所に散りばめられていて、買って1日で読破してしまった。
いくつか自分がよいと思った項目を紹介しよう。
・カーボローディング(グリコーゲンローディング)について
初期型グリコーゲン・ローディングとより体に負担の少ないグリコーゲン・ローディングについての記載が良かった。
筋肉内でのグリコーゲン濃度の高まりグラフと数字で示し、なぜグリコーゲン・ローディングが必要か、どのような条件下で効果があるか(逆にする必要がないのはどういうときか)、グリコーゲン・ローディングをする際にどのような運動をすべきか等を示してある。
また掲載されている論文の実験が面白かった。
片足ペダリングで片方の脚の糖質を充分に消費したあとに高糖質食を摂取した場合での、左右の脚のグリコーゲン量の差を比較するというものだった。
カーボローディングの効果が非常によくわかる。
・運動開始時の糖質の補給について
トレーニング開始前に糖質を摂取すると、これからのトレーニングの栄養補給ができる気がしていたが、タイミングが重要とのことだ。
糖質を摂取するとインスリンが分泌され血糖値が下がる。
そのタイミングでトレーニングを開始すると運動誘発性低血糖となりパフォーマンスが低下するということだ。
レース前の食事摂取や補給食の摂取タイミング、補給食の種類を考える上で非常によい知識を得られた。
・運動後の回復のための糖質摂取について
どうすれば筋肉の回復が速くなるか、またそもそも糖質は摂取すべきか(減量を意識するサイクリストは糖質を避けたいので)、またどのタイミングで何と一緒に摂取するとより効果が出るか、等々の知識が得られた。
→記事にしました
・Training-Low, Complete High法、Sleep-Low法について
持久系トレーニングの効果を高めるトレーニング方法としてTraining-Low, Complete High法や、その欠点を補うプロトコルとしてSleep-Low法というものがあるそうだ。
そもそもそれを知らなかったが、さらになぜそこに欠点があるか、またどういうことに注意する必要があるか、等々の知識が得られた。
ここはもっと掘り下げて勉強したい。
・健常者の糖質制限食について
減量のために糖質制限をおこなうサイクリストも多いだろう。
いろいろな情報がネットに溢れているが、この本ではメタアナリシスというエビデンスレベルの高い論文からの情報で、体重減少効果がどうかを記載してある。
また、なぜそういう結論なのか、また向いている人はどういう人か、なぜ向いているのかまで充分に掲載されている。
この項は非常にためになった。
・食物繊維の効果
自分も普段飲んでいる難消化性デキストリンについて、どのような効果があるか、またどのような論文による報告があるか、がまとめられている。
糖質だけでなく脂質に対しても効果があるという報告があることは嬉しい情報だった。
難消化性デキストリンについては過去記事を。
・プロテイン摂取方法、ゴールデンタイムについて
プロテイン摂取のタイミングはいつがいいか、短期的、長期的に効果を検討した上での結論が記載されている。
またタンパク質の量や一緒に摂取すべき栄養素についても記載がある。
さらにタンパク質の過剰摂取はどの程度の量からか、またどのような悪影響があるか等も書かれている。
プロテイン飲み過ぎ注意。気をつけよう。
まだまだ書ききれないが、上記のような情報が数値やグラフ、筆者の知見を交えて散りばめられている。
トレーニングに勤しむ方々、筋トレ大好きな方々、トライアスリート、スポーツ選手の方はぜひ一読されたし。
自分も今後記事にしていこうと思う。
ちなみに発売から5日後の2017.10.29にはすでに売り切れており1~2ヶ月以内に配送となっていた。
やはり論文ベースの正しい知識を得たいと考えている人は多いようだ。
正しい栄養の知識の理解のために手にとって損はない。
高いサプリメントやトレーニング危機を買うよりこれを一冊読むほうが十二分に価値がある。
ぜひ一度読んで欲しい。
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